絶対コラム

選挙

オレは選挙には行かない。
政治に無関心ということもあるが、
何よりも選挙というものが根本的に間違っているからだ。

一番大きな間違いは、
オレに一票しかよこさないということだ。
保留玉ランプが全部ついているにもかかわらず
呆けた顔で打ち続ける隣の台のオヤジと、
パチンコ全勝のオレとが、
同じ一票などということがあっていいはずがない。
最低でも100票オレによこすまで絶対に投票しない。

しかしたとえオレに1万票や2万票よこしたところで
とうてい公正な選挙など行えるはずがない。

まず、落選した候補に投票した人間に対する配慮が
全くないのはどういうことか。
税金を免除するくらいのことがないと
釣り合いがとれないではないか。
なにしろ彼らの無念は相当なものだ。
応援している漫画家の作品が打ち切られたときに似た
無念さだ。
漫画雑誌なら買うのをやめればすむことだが、
国から抜けるのはそう簡単ではない。

いつまでたっても選挙違反がなくならないのも
選挙というシステムが間違っていることを示す証拠だ。
選挙は、少なくとも建前上は
金で解決してはならないこととされている。
そういうきれい事で法律を作っているうちは
問題は解決しない。
金と票とは極めて結びつきやすい性質を持っているのだ。
両者は根元的には同じ物といってもいい。
それを引き裂く権利など誰にもない。
投票してやるから金をよこせ、という
大多数の国民の本音を反映しないシステムなど、
あっても意味がないではないか。


投票率が低いことに対して憤ったり嘆いたりするのも
おかしな話だ。
間違いだらけの選挙に投票する方がアブノーマルなのだ。
投票率の低下はむしろ世の中が正しい方向に
向かっているということなのだ。
投票など一部のマニアだけがひっそりと行うという
時代が遠からずやってくる。

投票によって国政に参加するという
国民の権利を放棄するのはもったいない、
愚かだ、等、いろいろなことを言う人間がいる。
けれども、放棄している権利など、
誰にでもいくらでもある。
オレはタバコを吸う権利を放棄しているが、
不思議と誰もとがめない。
金を儲ける権利は
あえて放棄したわけではないが、
権利の方がオレを放棄しているらしい。
労働の義務を怠っているからだ、だと。
大きなお世話だ。
オレが言いたいのは、
権利がオレに何をしてくれた!!
ということだ。


洋上からのFAXによる投票が可能になったようだが、
インターネットによる自宅からの投票が
日本でも認められる日はいずれ来るだろう。
そうなると選挙というものの意味は
ますます薄くなる。
インターネットからの票が票として認められるならば、
比較的低コストで直接民主制が実現できるからだ。

直接民主制の実現。
それは望ましいことだろうか。
いや。
オレに100票以上よこさない限り
意味がないことに変わりはない。

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