坂本タクマはとうとう携帯電話を購入した。

必要ない、うっとうしいだけだと思っていたが、持ってみると意外と嬉しいではないか。
有頂天であることを認めざるを得ない。

ここに番号を公開したい誘惑に駆られるが、ひっきりなしに掛かってくることよりもまったく掛かってこない場合の精神的ダメージを考慮して自重する。

2003/7/12

ふと思い立って、しばらく溜めっぱなしだったゴミ箱を空けてみた。

今までに嗅いだことのない、坂本タクマの語彙では形容のしようがない臭いが部屋に充満した。
もしかしたら前回空けたときに同じ臭いを嗅いでいるのかも知れないが、かなり前のことなので記憶にない。
空けたゴミをつぶさに観察すればいつ頃から溜めていたのか推測できるが、そんなことをする余裕は全くない。
目の端に映ったのは、おびただしい数のバナナの皮（黒色）だ。

今年一番のパニックに襲われ、ゴミ袋の口をキツく縛ってそれを見ないようにして遠くに置いて来る。
ゴミ箱は水洗いして、外の朝になったら真っ先に日が当たりそうな場所に置く。
この間息は止めっぱなしだ。

今はだいぶ落ち着いて、部屋の中の臭いも消えた。
または、臭いに慣れて感じなくなった。
もしくは、普段からうっすらとこの臭いが部屋に漂っており、すでにある程度慣れていたのだろうか。
何日かしたら、ゴミ箱自体をゴミと見なすかどうか決めよう。

最後になるが、お食事中の方はこれを読まないほうがいい。

2003/7/17

ゴミ箱には直接ゴミを入れず、袋をかぶせておいたほうがいい、とのご指摘を頂いた。

坂本タクマの記憶では確か市指定の透明なゴミ袋をかぶせておいたはずなのだが、空けようと思ったときにはなぜかなかった。
新しい袋にゴミを空けてみたら、その中にあった。
黄色くなった市指定のゴミ袋が。

ゴミを溜めている間、ゴミがゴミ自身の重さによって押しつぶされ、ゴミ箱の中にぎゅうぎゅうに詰まっていく過程で、ゴミ袋が徐々にゴミ箱の中にたくし込まれていったのだ。

こうした話は高校で地学をとった方ならすんなりとご理解いただけると思うが。

2003/7/20

部屋を片づけている。
ゴミ箱のゴミを捨てたのもその一環だ。

片づけ始めてかれこれ3ヶ月かそれ以上たつが、いっこうに片づけ終わらない。
むしろ片づけ始める前より散らかっている気がする。
なぜだろう。

片づける速度より散らかす速度が速いのだろうか。
部屋に入れるもののほうが部屋から出すものより多いからだろうか。

大事なメモやバイクの鍵などをさんざん探しているのだが見つからない。
そのほかにもいろいろ探している気がするがあまりにも長いこと探しているので何を探しているかよく覚えていない。
見つかった瞬間に探していたことを思い出すかも知れないし、思い出さずにまたどこかに埋もれさせてしまうかも知れない。

机の上さえ片づければすぐに売れる、あっという間に年収が3倍にも10倍にもなると思い続けて10数年。
今では売れるよりも片づける方が難しいのではないかと思っている。
何とかしようと思って、片づけられないあなたがどうしたこうしたという本を買ったがどこに行ったかわからない。

最近テレビを見ていて思うのは、ゴミ屋敷で何が悪い、ということだ。

2003/7/23

最近地震づいている宮城からお送りしている。

宮城が地震づくのと反比例するように坂本タクマは生きる自信を失っている。
どんどん厭世的になっている。

こんな片づけもできないようなロクデナシに生きる価値はあるのだろうか。
一生懸命片づけたって、どうせ大地震が来れば一発でぐっちゃぐちゃだ。
何しろ30年以内に巨大な宮城県沖地震が起きる確率は99％だという。
それが起こってから片づけ始めたっていいではないか。
その方が効率的だ。

絶対大地震が起きると言われているのに、このまま宮城に住み続けるのもどうか、という思いもある。
部屋の中のものを全部捨てて、新天地で一からやり直すのもいいのではないか。

片づけるのが嫌な一心で坂本タクマはとんでもないことを言っているのではないか。

2003/7/28